2007年9月1日、2日
テーマ 責任逃れ、土地問題
ラテン・アメリカの国々では往々にして見られる傾向であるが、一般的に大規模な土地所有はごく少数の人々によって支配されている。何千ヘクタールにも及ぶ土地は、家畜及びバイオ燃料となるサトウキビや大豆、その他穀物等、単一の換金作物の栽培に当てられている。その一方で、人口の大多数、つまり自給自足でなんとか食べていこうとしている貧困農民は、耕地の不足に苦しんでいる。歴史的に見ても、権力を持つ者は、同朋が必要とする食糧よりも、自らが手にする潤沢な利益を優先させてきた。アムネスティ・インターナショナルによると、2000年現在、グアテマラの土地分配は極度の偏りを見せている。全人口の1.5%が国土の62.5%を支配しているのに対し、人口の94%(その大多数が地方の農民)が利用できるのは国土のたった18%である。(1)
ヌエバ・リンダの土地は、沿岸の町チャンペリコへとつながる幹線道路沿い、207キロメーター地点に位置する。地元農民のリーダーであったエクトル=レイジェスは、「土地を持たないマヤの労働者組合(STMST)」に属し、ヌエバ・リンダで働くことで家族を支えていた。しかし2003年9月5日、レイジェスは忽然とその姿を消したのだった。当時の地主でスペイン人のカルロス=ヴィダル=フェルナンデスの使いをしていた間のことだった。(2)
エクトル=レイジェスの失踪及び土地所有者の事件への関与に関しグアテマラ当局が十分な説明を行わなかったことから、2003年10月、近隣の22の共同体に住む農民がヌエバ・リンダを占拠した。「ヌエバ・リンダにおける土地占拠に関して特筆すべきは、農民たちの目的が、当局に圧力をかけることで失踪の真相が究明され、正義が実現されることにあった点だ。つまり、多くの土地占拠が通常は労働条件の改善や土地そのものの獲得を目的としているのに対し、彼らの行った占拠はその性格を異にしているのだ。」(3)
それからほぼ1年が経った2004年8月31日、ヌエバ・リンダにおいてグアテマラの治安部隊は暴力的な住民強制排除に踏み切ることとなる。この事件により9名の農民および3名の警官、合計12名の死亡が確認されている。事件後、エクトル=レイジェスの家族及び彼らを支援する近隣共同体の住民が、ヌエバ・リンダを囲むフェンスと幹線道路の間に横たわる数メートル幅の場所に居を構えることを決めたのだった。エクトル=レイジェスの失踪から4年、先述の虐殺事件から3年、「正義を求めるヌエバ・リンダの活動」は、路の傍らにて抵抗の闘いを今なお続けている。
「大規模土地所有者が牛耳る制度に対する南部沿岸地域の農民による抵抗を記念して、『小規模農業開発委員会(CODECA)』及び『反帝国主義連合』が、2度目の開催となるメモリアル・キャラバンを召集した。グアテマラ・シティをスタートし、ヌエバ・リンダを終着点とするキャラバンだ。近隣共同体の住民に加え、グアテマラ各地の社会組織メンバーが集まり、広大な区画の外で繰り広げられる抵抗運動に加わった。(4)
「(旗)エクトル=レイジェスの強制失踪及び2004年8月31日の大虐殺に正義がもたらされることを求めます。」
抵抗を続ける共同体は、フェンスと道路の間の狭い土地で栽培されたトウモロコシを主食としてきた。
ドーニャ=カルメンがそのトウモロコシで作った実においしいタマールを振舞う。
抵抗を続ける住民に命の水を与える井戸。ヌエバ・リンダの所有者は幾度とこの井戸に毒物を盛ろうとしてきた。
道路からほんの数メートルのところに建てられた小屋。木材、椰子の葉、プラスチックを使っている。
様々な合奏団による音楽が参加者を楽しませる。
大きなトラックがものすごいスピードですぐ横を通りすぎてゆく。
イベントの目玉はもちろん、フランス出身の映画監督グレゴリー=ラサールが最近発表したドキュメンタリー映画の上映会であった。『Kilometer 207: Along the Side of the Road (キロメーター207 ―路の傍らで続く闘い―)』 と名づけられたこの記録は、ヌエバ・リンダの事件の詳細や、3年にわたる抵抗の闘いを描いた作品だ。
失踪したエクトル=レイジェスの娘ベティ=レイジェス=トレドが作品中で語る。「金持ちが誘拐されたのであれば、貧しい人が既に刑務所に入れられているでしょう。でも私の父の場合、金持ちが誘拐者だったためにその真相は調査されることがなかった。正義を求めた闘いを続けて3年、未だ何も明らかになっていないわ。正義は皆に平等であるべきよ。これじゃあまるで、貧しい人々に正義はやってこないかのようだわ。」
度重なる嫌がらせを受け、銃口を向けられたことさえあるエクトル=レイジェスの家族、そして彼らに寄り添う不屈の農民グループ。しかし彼らはそういった行為に耐え、正義を求めその平和的抵抗を続ける。共同体のメンバーが再び明言する。「土地所有者が雇う警備員から脅迫行為や迫害を受けているよ。しかしそれでも構わないさ。正義が実現されるまで、我々は一歩たりとも引くつもりはないんだ。」(5)
『Kilometer 207: Along the Side of the Road (キロメーター207 ―路の傍らで続く闘い―)』のダイジェスト版(2分)をご覧になる方はこちらへどうぞ。
このドキュメンタリー映画の詳細や購入に関しては、以下までご連絡ください。
Collectifguatemala2@riseup.net
mailto:riseup.nethijosguatemala@gmail.com
English version click here
Versión en español aquí
1. グレゴリー=ラサール作『Kilometer 207: Along the Side of the Road』(42分)2007年8月グアテマラ より
2. カソ=アブヘルト著「ヌエバ・リンダの虐殺」(ライツ・アクション報告書)2005年11月9ページ より
3. 同上
4. 反帝国主義連合著 “Jornada contra la impunidad: Justicia por Nueva Linda” 2007年8月22日グアテマラ より
5. ラサール 同・前掲注
