2008年1月13日日曜日

ヌエバ・リンダ クリスマスの日

グアテマラ レタルウレウ チャンペリコに向かう道 キロメーター207
2007年12月24日-25日



グアテマラ南部沿岸地域出身で、『正義を求める ヌエバ・リンダの会』メンバーである農民たちが、今年もクリスマスを迎えた。道路の傍らで迎える4度目の聖夜だ。2003年に起きたエクトル=レイジェスの誘拐・失踪事件、そして12人の死者と45人の負傷者を出した2004年の住民強制排除に関する正義を求め、彼らの抵抗は続く。強制排除を行う間、グアテマラ治安部隊は民間から雇った護衛部隊と共に、少なくとも5人を至近距離から殺害した。このような警察の残忍行為によって住民は命を落とし、その中には身ごもった女性もいたのだった。(1)

この事件についての詳細は、前掲のフォト・エッセー『ヌエバ・リンダ―路の傍らで続く闘い』をどうぞ。

爆竹が鳴り響く中、グアテマラの伝統的クリスマス料理であるタマレを囲み、ヌエバ・リンダの住民たちがクリスマスイブを祝う。


誘拐・失踪事件の被害者、エクトル=レイジェスの孫娘たちが線香花火で遊ぶ。


セルビン=ヘルマンデス(左)は、2004年の住民強制排除の際、国家警察隊の暴力により複数箇所に骨折を負った。クリスマスを祝う食事の席で、彼は自らの気持ちを語る。「クリスマスをここで祝うことができて嬉しく思うよ。でもね、僕らがこの場所に居たくて居るわけではない、そのことだけははっきりとさせておきたいんだ。僕らがここにいるのは、エクトル=レイジェスが失踪したからだ。僕らの気持ちは彼の家族と一緒さ。あの事件はエクトル、そして彼の家族に起こったことだった。でも明日のことは誰にもわからないよ。僕の家族の誰かが犠牲になるかもしれないし、僕自身がターゲットになるかもしれないのだからね」

「農民間、もっと広く言えば貧しい人々の間の連帯が十分でなかったために、金持ちはしたい放題してきたよ。彼らは我々を同じ人間とは思っていないのだからね。便利だと思った時には道具か何かのように使い、必要がなくなればポイと捨ててしまう。金持ちの頭にあるのは我々が提供する労働力、それだけさ。エクトルの件に関して言えば、金持ちは彼の土地を奪った賠償を負うどころか彼を殺してしまった。私にとってはこれほど不当なことはないよ。私にはそれを赦すことなどできないね。だからこの場所にいるんだ」(2)


「人々はグアテマラの法律なんかに賛同していないのさ。なぜなら、この国の法律は金持ちのために作られた法律であって、我々貧困にあえぐ者には当てはまらない代物だからだよ。富のある地主が貧しい小作農を殺したとしよう。3万ケツァル(約4000米ドル/およそ400万円)も支払えばまた自由の身さ。本当なら法による罰を受けなくてはならない人物がだ!エクトル=レイジェスの失踪に実際に手を下したのはボス自身ではなく、貧しい人間を雇い、そいつにやらせたんだ。実際に手を下した者は、いつの日か同じことが彼自身に起こるかもしれないなど、微塵も思わずにやったんだ。僕にはそのことがよくわかるよ。人権は尊重されなくてはならない。僕らは貧しい。けれどそんな僕らにも守られるべき人権があるんだ」(3)


「私にはアメリカに住む家族がいるよ。だが不法入国でアメリカに移住しようとする人々の行動に賛成はしないさ。物理的豊かさという幻想だけのために、家族や仲間に命がけの移住などさせることができるものか。家族と共にある生活、思いやりや愛情を感じながら送る日々、そんな生活以上に素晴らしいものなど存在しないさ。子供たちをグアテマラに残したまま父親や母親はアメリカへ移り住んで働きづめ、そんな家族を幾度となく目にしてきたよ。もちろん、子供たちは毎月幾ばくかの現金を手にすることができる。でもね、両親からの愛情を感じることはできないんだ。親が子供に与える温かさが何よりだよ。それが失われてしまうんだ」(4)


ニコラス=ウシュライ(左)が口を開く。「(政権を離れる)ベルシェ大統領は国際社会に向けて繰り返し言ったものさ。グアテマラは平和な国だとね。でも現状は違う。ここは僕らのような農民や先住民が苦しみ、泣き声を上げ、国中で横行する不当行為によって家族の命が奪われる。それがグアテマラの現実だよ」

「僕らのこの厳しい生活は、これまで怠けてきた結果ではないんだ。僕らがこのような生活を強いられているのは、グアテマラの富が一握りの外国人や独裁者によって支配されているからなんだ。グアテマラは国民みんなを食べさせていくだけの豊かさを持った国だよ。抵抗の日々には、食糧がある日もあればない日もある。それでも求めるものがはっきりしているから、僕らは自分たちの足で立っていることができるんだ」(5)

「僕らの目的はエクトル=レイジェスの事件をきちんと終わらせ、正義が果たされることにある。どのような脅迫や迫害を受けようとも、一歩たりとも譲らない覚悟でいるさ。なぜなら、僕らが求める正義が『正しい』正義だからだよ。カルロス=ヴィダルのような地主がしかるべき賠償金をエクトルに支払う代わりに暗殺者を雇い、彼の命を奪う。そんなことがあっていいはずもないだろう?」

「僕らグアテマラ人は侵略者なんかじゃない。エクトル=レイジェスの誘拐・失踪事件が起こらなかったら、僕らがこの場所に生活することはなかっただろう。ここグアテマラでも、そして国際社会にも知れ渡っているとおり、ヌエバ・リンダの土地を (2003年に)我々が占拠したのは侵略行為などではなく、政府関係者を動かすために圧力をかける手段だったんだ」(7)


「この国の南部では、スペイン人による侵略が横行している。彼らにお願いしたい。自分たちの国へ帰り、僕らの土地を返してくれと。問題は土地だけにとどまらない。労働階級の搾取までが起こっているんだ。多くのグアテマラ人がアメリカにいる理由は、この国で耕す土地がなくなってしまったからなんだ。そんな現実を尻目に、スペイン人の中には莫大な土地所有権を持つ者がいるんだ。彼らこそが真の侵略者だよ!他人の生活を尊重することから平和が生まれる。彼らの心には我々に対する尊重の念がないんだ」(8)

『正義を求めるヌエバ・リンダの会』の法定代理人マリアノ=カレルは、朝食のタマルを食べながら言う。「私はどんな脅迫にも屈しはしないよ。エクトル=レイジェスの家族がこの闘いをあきらめるというのであれば、私もこの土地を去ろう。彼の家族なしに、正義を求めるこの闘いを続けることはできないからね。しかし彼の家族はこの闘いを続けている。ここから私を追い払おうとするならば、私の命を奪うしか方法はないね」

大型の野ねずみに食糧を奪われることがないよう、ヌエバ・リンダの住人はトルティージャ等の食糧を籠に入れて保管している。その上にあるプラスチック製のボトルは、野ねずみがロープを伝って入ってくるのを防ぐためだ。


エステバン=ペレスがMumundo.orgによるフォト・エッセー『ヌエバ・リンダ―路の傍らで続く闘い』を読む。「9歳の頃から、僕は日の出から日の入りまで畑で働いているよ。差別や不当な扱いを受け、支払われる賃金はほんのわずか。それが多くの地主が課している条件なんだ。でも僕たちにはグアテマラを変えることができるんだ!残念なことに多くのグアテマラ人がこのことに気付いていないんだ。だから行動を起こさず、外国人の奴隷として働き続けている。僕は今22歳。同年代や若い人たちによく話して聞かせているんだ。僕たちには声と投票権があることをね。意見を公にし、権利を求めていかなくてはならない!僕がこの闘いに加わったことで、両親は僕に危害が及ぶことを恐れているよ。でも僕は心配しないように言っているんだ。僕はみんなにとっての平等を求めている。それが僕にとってのゴールだよ。何が起ころうとも、僕はこの地で闘い続けるさ」

『Kilometer 207: Along the Side of the Road (キロメーター207 ―路の傍らで続く闘い―)』を製作したフランスの映画監督グレゴリー=ラサール(右から2番目)が、『正義を求める ヌエバ・リンダの会』メンバーらと談笑する。



ドキュメンタリー作品、『Kilometer 207: Along the Side of the Road (キロメーター207 ―路の傍らで続く闘い―)』のダイジェスト版(2分)はこちらへどうぞ。


エクトルの娘、ベティ=レイジェスが言う。「私たちにとって、両親のいないクリスマスを過ごさなくてはならないことは悲しいことね。母は遠くにいて、父の行方は未だ知れず・・・。子供たちに道端のクリスマスを経験させることも辛いわね。でもあなたたちが一緒にいてくれて嬉しい。そうよ、考え方によっては楽しい時間をすごしているんだもの。父の強制失踪に関わった者たちに正義が下されるまで、私たちがここを去ることはないでしょう。実行犯ははっきりとしているのだから」

エクトル=レイジェスの孫や娘たち、親戚らのクリスマス・ポートレートだ。マリアノ=カレルの姿も後ろ側に見えている。


ベティの一番下の息子、エクトル=エルネストは1歳半になる。彼の名前は、行方不明の祖父にちなんで付けられた。彼がグアテマラ・シティの中央広場で生まれた2006年の夏の日、ヌエバ・リンダのメンバーらは、グアテマラ大統領宮殿前で数ヶ月にわたる抗議行動の真っ最中であった。

「新大統領アルバロ=コロムが公約を守ることを願っているよ。ベルシェ前大統領は我々貧しい者に対し何一つしてくれなかった。任期中、彼は我々の存在を無視し続け、我々から目を背けたまま、政権を去っていくのさ」(9)


ベティの夫ロドルフォ=ペレスがこう結ぶ。「目標をしっかりと見据え、気持ちを明るく持って我々は闘いを続けるさ。もう4年になる。でもこの先10年かかっても15年かかっても我々の権利を訴え続けるよ。それが正しいことなのだから」

Pro-Justice ヌエバ・リンダ・グループへの問い合わせはこちらへどうぞ(スペイン語で)。
info@justicianuevalinda.org  /  http://www.justicianuevalinda.org/


ヌエバ・リンダに関する詳細な報告書については、ライツ・アクションまでお問い合わせ下さい。

info@rightsaction.org  /  http://www.rightsaction.org/

ヌエバ・リンダに関するドキュメンタリーKm. 207: By the Side of the Roadのご注文はこちらへ (スペイン語、英語音声、またはフランス語字幕)
collectifguatemala2@riseup.net

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Versión en español aquí

1. 『ヌエバ・リンダの虐殺』 カソ=アビエルト著 ライツ・アクション報告書 2005年11月号 3頁
2. セルビン=エルナンデスとのインタビュー 2007年12月24日
3. 同上
4. 同上
5. ニコラス=ウシュライとのインタビュー 2007年12月24日
6. 同上
7. 同上
8. 同上
9. 同上