2009年5月25日月曜日

サンミゲル・イシュタウアカン、立ち上がる

2009年5月22日
グアテマラ グアテマラ・シティ


5月22日、カナダ資本の巨大鉱山会社ゴールドコープ社が、バンクーバーの金融地区にて年次株主総会を開催した。時を同じくしてグアテマラ・シティでは、何百人もの人々がデモ行進を行っていた。デモ参加者は、ゴールドコープ社が運営するマーリン鉱山が位置するサンミゲル・イシュタウアカンの住民であり、グアテマラの高地における同社の鉱山活動に抗議しようと、グアテマラ・シティに集まったのだった。

デモ参加者は、オベリスコと呼ばれる、グアテマラ・シティの金融街の中心部にある円形交差点に集合した。ここを出発し、最初の目的地であるユーロ・プラザ・ビルディング(グアテマラ・シティのゾーン14)を目指す。同ビルには、ゴールドコープ社のグアテマラ法人、モンタナ・エクスプロラドーラ社の本社が入っている。

デモ前日に行われた記者会見では、「コミュニティー・リーダーらは、モンタナ・エクスプロラドーラ社が住民に土地の売却を強制するため、脅迫行為や土地の強奪といったキャンペーンを地元村落で行っていると非難した」(1)

「私たちは農村部に住む農民だ。犯罪者ではない!」

「抗議運動参加者のほとんどを占めるのは、マヤ系先住民マムの人々である。彼らは運動の目的が、モンタナ社による鉱山活動の閉鎖に向け、平和的な対話を模索することにあると繰り返す。水資源を含む地元の天然資源が毒物汚染を受けたことが原因で、これまでに3名の住民が死亡している」(2)





『水は売り物ではない。守るべき資源なのだ!』



「地元のリーダーらは、モンタナ社は操業開始当初、サンミゲル・イシュタウアカンの地価を過小評価し、地元住民の間に亀裂を生じさせ、同地域に住むおよそ600の家族から家屋を取り上げたと断言する。現在も同社は、土地の強奪、売却の強制、コミュニティーの分断といった策略を続けており、この問題に関係当局・機関が関与することが、どうしても必要なのだ」(3)

『人々の現在、そして未来を共に。
ゴールドコープ社のグアテマラ法人、モンタナ・エクスプロラドーラ社
開発こそが、価値あるもの』


『我々に正義を。モンタナ社、ゴールドコープ社を非難せよ』



『鉱山にはNOを
私の未来はどんな姿?』

『一滴、また一滴、水源は干上がり失われていく!』





豪奢なユーロ・プラザ・ビルディングに到着するも、サンミゲル・イシュタウアカンのリーダーらは、モンタナ・エクスプロラドーラ社側の代表と対話を持つことはできなかった。しかしながら、同じビルに入る国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に対し、訴えを綴った書類を提出することができた。

『鉱山なんてたくさんだ!モンタナ社は今すぐ出て行け!』



グレゴリア・クリサンタ・ペレスは、ゴールドコープ社への電力供給を妨害したとして、同社に訴えられている8人の女性の1人だ。彼女はこう語る。『私たちは自分たちの権利を主張します。なぜなら、鉱山会社に殺されたくないからです。グアテマラ政府はどうか、私たちの訴えに耳を傾けてください。この地域の土地を正当に所有するのは、私たちなのです。私たちはこの土地の先住民―この土地に生まれ、この土地で死にゆく民なのです。そして私たちの死を決めるのは神であり、決して、鉱山会社などではありません』



『鉱山にはNOを。命にYESを。サンミゲル・イシュタウアカン』

もう1人の地元リーダー、パトロチニア・メヒア・ペレス(写真右)。彼女もまた、電力妨害の件でゴールドコープ社に訴えられている。

『今日、全国を挙げて、鉱山の露天掘りによる被害者を定義しよう。
命にYESを!』




ユーロ・プラザ・ビルディング前で1時間を超える抗議を行い、グアテマラ・シティの金融街・レストラン街を練り歩いた後、デモ隊はカナダ大使館に到着した。



抗議内容を聞くため、4人からなる代表団がカナダ大使館に迎え入れられた。「サンミゲル・イシュタウアカン・インテグラル・ディベロップメント・アソーシエーション」のハビエル・デ・レオン(写真左)が、代表団を率いて大使館へと入る。その後ハビエルはこうコメントしている。『リアン・マッケニー大使の話には矛盾がある。カナダ企業は人権を尊重すると約束しているのに、鉱山産業は本質的にそういった権利を侵害しているのだ』

カナダ大使館から数メートルのところに、ゴールドコープ社の広告看板が見える。グアテマラ・シティに多く見られる広告の1つだ。

『発展する国の夢に投資する企業―ゴールドコープ社』


サンミゲル・イシュタウアカンの住民の何人かがこの広告に気付く。鉱山が地元コミュニティーにもたらした被害を考え、看板の謳い文句がおかしいと感じた彼らは次第に、広告をはがし始めた。深刻な社会対立を引き起こしている鉱山会社への不満を表そうという行動だ。

十数人の人々が突然、広告板に上りはじめた。周囲には陽気なムードが漂う。この一連の行為は、写真から見てとれるように、巡回中の警察官も見守る中、周囲を通る車やゴールドコープ社の隣に掲げられた広告に対して最大の注意が払われ、行われた。

数分後、デモ隊は広告を完全に引きはがした。この広告はサンミゲル・イシュタウアカンに持ち帰られ、デモに参加しなかった住民たちに披露された。最終的には、鉱山の近くで燃やされる予定だ。

デモ隊は人権オンブスマン事務所、議会、大統領宮殿を訪れ、行進を終えた。

グレゴリア・クリサンタ・ペレスは言う。『私たちが今日ここに集まったのは、カナダ国内でゴールドコープ社の株主たちが鉱山による収益を分配しているからだ。一方グアテマラのサンミゲルは、いまだ貧困状態が続いている。しかし今日、ついに、サンミゲル・イシュタウアカンは目を覚まし、立ち上がり始めたのだ』

お問い合わせは、
info@rightsaction.org(英語)
nimjavier@gmail.com(ハビエル・デ・レオン宛て、スペイン語)

For English, click here.
Versión en
español aquí.

1. CERIGUA “Montana Exploradora inicia con estrategia de coacción y usurpación de tierras” 2009年5月21日
(http://cerigua.info/portal/index.php?option=com_content&task=view&id=10072&Itemid=1)
2. 同上
3. 同上

2009年5月8日金曜日

HIJOS: ポスター・キャンペーン

2009年5月6日
グアテマラ グアテマラ・シティ

来る6月、グアテマラ社会にHIJOSが鮮烈に登場してから、10年を迎える。HIJOSとはスペイン語で「子供たち」を意味し、また、「忘却と沈黙に反対し正義と人権を求める子供たち」の意であるスペイン語の頭文字をとったものだ。HIJOSは公共の場での芸術活動、良心を追及するためのイベント、政治的なデモ活動を通して、36年にわたり続いた内戦下でグアテマラという国が犯した人道に対する罪について、真実と正義、そして歴史的記憶を取り戻すことを求めてきた。

HIJOSの活動は様々あるが、その中でも定期的に行っているのが、屋外のポスター・キャンペーンであり、特にグアテマラ・シティで行われることが多い。





HIJOSが貼りだす写真やメッセージは、必ずといってよいほど、通りを歩く人たちの関心を集める。



HIJOSの創設メンバーの1人、ウェンディ・メンデス(写真右)が、こういった活動の背景にある理由、HIJOSが目指すもの、彼らを活動に向かわせるものについて語ってくれた。

「今日5月8日は、世界女性の日であり、また、私の母ルス・ハイディ・メンデスが、G2と呼ばれる軍の諜報機関によって拉致・拷問を受け、強制失踪させられた日から25年を迎える日です。母の事件は、1984年のグアテマラ・シティで起こりました。様々な思いが押し寄せています。怒りや不安もありますが、何よりも強いのは、希望です。私は母、そして強制失踪の犠牲となり虐殺された全ての女性たちのために、正義を求める道を歩み続けているのです」

「私たちHIJOSの人生に、『正義』はありませんでした。だからこそ、私たちはこの『正義』という言葉を知るようになったのです。私の母が、その他多くの母親たちと共に、拉致され、強制失踪の犠牲となったことに、公正さなどありません。母の失踪依頼、グアテマラに住む多くの他の家族同様、私の家族の中には、例えようもなく大きな穴があいたままとなっています。本来そこには、果てしない信頼を寄せることのできる人間が存在したはずなのです」

「罪を犯した人たちは、未だ自由の身でいます。残虐行為を命じた人たちは、今やグアテマラ政府・社会で政治的決断を下す立場や影響力のある地位を独占しています。それでいいはずがありません」

「3歳になる私の息子は、おばあちゃんという存在を知らずに育たなくてはなりません。母は、孫を持つことがどんなものなのかを、知ることはありませんでした。母が姿を消したあの日から25年が経ちますが、私は今も深い悲しみの中にあり、恐れ、苦悶、悔しさ、そしてなんと呼んでよいのかさえわからない様々な感情に苦しめられているのです」

「私たちは今、社会政治的な環境の下に暮らしています。そこでは、権力を持った者たちが、犠牲者の顔、名前、記憶を用い、自然の資源を守ろうとする農民に対して行われた強制失踪や抑圧行為の隠蔽を行っています。この社会で権力を持つ者たちは、軍が行ったキャンペーンによる虐殺事件を裏付ける公式文書を、その公表を命じられているにも関わらず、未だ提出していません。彼らは、軍部の日記のような証拠書類に記された真実を認めようとせず、戦争の犠牲となった人々やコミュニティを欺いているのです。トンネルの向こう側にあるはずの正義という光は、なかなか見えてはきません」

「私たちは、国家によるテロリズムの犠牲となった男性、女性、子どもたちの記憶に尊厳をもたらすため、様々な活動の先頭に立ってきました。裁判所や大虐殺に関与した者たちの自宅前でデモを行い、街中の通りを練り歩き、壁画を描くという表現でこの国の歴史的記憶を糾弾し、かつてのゲリラ兵の苦しみや生涯を語る証言を拾い集めています」

「それでもなお、実感できずにいるものがあります。それは、切実に求められ続けてきた『正義』です」

「25年前に起こったルス・ハイディ・メンデスの強制失踪を追悼することは、正義について、そして我々はどのようにしてそれを手にすることができるのかを振り返り、今一度じっくりと考えを巡らせるためなのです。HIJOSが公の場でポスター・キャンペーンを行う根拠は、ここにあります」

2009年5月8日
グアテマラの新たな抵抗
強制失踪の犠牲となった全ての人々に捧げる。
私たちは忘れない。そして許さない。


『軍の責任逃れに終止符を』

『記憶、真実、正義』

For English, click here.
Versión en español aquí.